実録!30代でブラック企業を脱出した生身の体験ブログ!
接客や販売がメインのサービス業。
日本では国内総生産の7割をサービス業が占めています。
飲食店やホテル、家電量販店や美容院、不動産業などなど。挙げ出したらきりがない。
えてしてこのサービス業。ブラック企業の度合いが非常に高い事でも有名です。
なぜサービス業はブラックに陥るのか?
それには法律のダブルスタンダード(二重規範)が起因しています。
目次
そもそもダブルスタンダードって何のことなのか?
二重規範(にじゅうきはん)とは、類似した状況に対してそれぞれ異なる指針が不公平に適用されること。ダブルスタンダード(英語: Double standard)とも。この概念は、すべての状況が同じ指針の適用を受けること(単一規範)を理想とする立場から使用される[1]。活字には遅くとも1895年には登場していた[2]。
二重規範の端的な例は、ある概念(例:言葉・文・社会的規範・規則など)を一方のグループに対して適用することは許容され、もう一方のグループに適用することは許容されない、あるいはタブーとみなされる事である。
(参照:ウィキペディア)
簡単に言えば、同じルールの中に、どちらかなじまない2者が共存している状態のことです。
一方にとっては馴染むルールなのに、他方には馴染みにくいルール。
共通する部分は多数あるために、一見するとどちらにも適応しているようには見えますが、詳細まで探っていくと全然合わないのです。
合わないというようりも、無理がある。
実は法律(労働基準法)の中にも、このダブルスタンダードと全く同じ状態が起きているのです。
特にサービス業ではその色合いが強い。
労基法は源泉をたどれば、工場労働者を保護する法律が元になっています。
戦前の日本では、働く人のほとんどが工場労働者でした。工場に勤務していなくても、仕事のほとんどが炭鉱や漁船など肉体労働が産業のメインだった。
歴史の教科書にも登場する「富岡製糸場」などの工場や、鉱毒事件にもなった「足尾銅山」、小林多喜二の「蟹工船」など聞き覚えがある方もいることでしょう。
肉体労働者階級は、経営者に人間扱いされずに使い倒されたという背景があり、こういった事態に国が徐々にメス入れを図っていき、ブラッシュアップされできた法律が労働基準法です。
そのため、今の労基法はその名残を受け継いでいることもあり、ベーズが肉体労働者向け、古い言い方をすればブルーワーカー向けの法律になっているのです。
にも関わらず、今の日本はサービス業がメイン。工場労働者などの製造業に従事する人は2014年で全体のわずか15,8%しかいません。
サービス業の3次産業についている人がほとんどにも関わらず、法律はブルーワーカー向けにメイン構成されているのです。
これはまさしくダブルスタンダード状態。
実はここにサービス業がブラックたる由縁が隠れているのです。
工場などの製造業は、製品を多く作ってなんぼの世界です。
そのためどこの工場でも、生産数と品質を目標にしている会社が普通。しかもおおよその生産数は時間で決っているので、時間で売上が決まると言っても過言ではない。
これは同時に、日数×稼働時間で給料が決定することも表します。当然ながら残業をすればそのぶん製品も多くでき売上があがるために、やった人にも給料が多く支払われます。
一方で、接客・販売などのサービス業はどうか?
店舗販売の経験者ならご存知でしょうが、お店をいくら開けていても売上は自動的に上がっていくわけではありません。
そこにお客さんが来て、商品を購入したり成約をさせたりしてはじめて利益が生じる。
店舗稼働していることもあり、いつ客が来店するかも分からないので、暇だからといってお店を閉めるわけにはいかない。
仮に客が来なくてもお店は開けておく必要があるのですね。
完全歩合の営業マンは別にして、多くの会社で雇われている社員には法律の適用がなされるので、売上が立っていなくても給料が支払われる仕組みになっている。
工場は日数×時間で売上がキープできるのに対して、サービス業は必ずしも日数×時間で売上がキープできるわけではない。
にも関わらず、適用される法律は基本的に同じものです。
不具合の穴埋めをするために、「裁量労働制」や「固定残業代」などの仕組みを取り入れている会社もありますが、同じルールの中に違う性質の2者が共存していることは否めません。
えてして日本人の7割がサービス業に従事しているのに、法律の適用は少ない割合の工場(肉体)労働者向けのものがメインで適用されている。
日本は法治国家なので、当然、この法律の不備をつく声が挙がります。
「なぜ、残業しているのに残業代がでないのか?」
法律に準拠していなければこういった声が上がるに決っている。
今まではこういった従業員の声を、経営者側が無理やり、
「いやいや、売上が上がってないから残業代は無理だよ」
と押さえ込んできたのです。それが可能だった。
ブラック経営を営んでいても、法律の規制がかかることはほとんどなかったのです。
なぜか?
ブラック企業が違法まがいの事をやっていて法律違反をしていたのに、あまり国から叩かれなかったのには理由があります。
それは、
・会社に社会保障を担って貰わないと国が困る
この2点です。
法律を堅守させる一番効果がある方法は、罰則を強化する事です。
それこそ刑法がいい例です。
犯した罪の重さに応じて、刑も重いものになっている。
「守らなければ極刑が待ってるよ!」と言わんばかりに、罪に準じて相応の刑が決っているのです。
極端な話し、「労働基準法を守らなければ、罰金1000万!」などとすれば堅実に守ろうとする動きは強まります。
しかし、国側は法律を強化するようなことはしません。
単純な理由ですが、罰金を強化して労基法に準じた経営をしたら成り立たない中小企業は沢山あります。
サービス業がその筆頭で、サービス残業をすることが前提で成り立たせている会社は非常に多い。
これを厳格に取り締まったら倒産の可能性が出てきます。すると法人税や所得税、消費税がとりはぐれる事態が起きてしまう。
国としてもそれは困るわけです。
(参照:財務省)
法人税等だけで21,7%の予算割合がありますから、厳格に取り締まった挙句に会社が倒産して税収が減るのは国としても痛い。
そのため取り締まるにしまれないのです。
さらに罰則を強化しても、それを取り締まる労働基準監督署の職員が少ないというのも問題になっている。
多くの日本人はサラリーマンです。どこかしらの会社に雇われて働いている人がほとんどです。
総務省:統計局のデータによると、約89%の割合が雇用者、会社に雇われている人達です。自営業者はわずか1割だけしかいない。
これが何を意味するのか?
これは、資本主義の構造上しかたのないことですが、国が社会保障の一部を会社に背負ってもらいたいというのがあります。
要は国としても、個人がなにがしかの組織に属してくれていた方が都合がいいのです。
特に税金や社会保険などは、会社が代表して全員分をおさめます。これは個人でおさめる自営業者より、効率よく収集できるし、滞納などが起こるリスクも少ない。
今は昔ほどではないにしろ、会社に属していれば基本的には安泰で、とりあえずは生活サイクルを回せるということもある。
ある意味で社会保障の一部を会社に担わせているのです。
税金や年金の仕組みがサラリーマンに有利なようにできていることからも、国は会社が人を雇って保護してくれる事に寛容的なのです。
そのため従業員解雇に対する法律は厳しく取り締まるが、企業の身動きを取りにくくするような法規制はあまりしないのです。
労基法の罰則が強化されないのはこういった背景がある。
世論を大きく巻き込むと国が動く傾向があります。
過労死や長時間労働が問題になると、世論がそういった企業を叩きます。
昔は小さい声がなかなか反映しにくいといった問題を抱えていたが、ネットやSNSの普及で小さい声が一気に反映するようになった。
小さい声が一塊の大きい声に転じるのが早くなったのです。
今は大企業であっても何年も倒産せずに経営できる時代ではなくなりました。
海外企業の進出もありますが、不祥事や違法まがいのことを隠しきれる時代ではなくなったからです。
何かあると内部告発やネットですぐに拡散します。
経営が不安定になるという事は、国が社会保障を会社側に担わせにくくなることを意味します。
不祥事が拡散し会社が倒れてしまうのなら、グレーゾーンを無くす方向で動かざるを得ない法律ができてくるかもしれません。
国としては会社に倒産されては困るからです。
同じ法律内に異なる基準は2つあるなら、それを切り離す法律が必要になるのかもしれません。
しかし現状では、法律改正の余地は全くみられない。
同じサービス業なら、より従業員のことを理解してくれる会社に就職するのが賢明なのでしょう。
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