実録!30代でブラック企業を脱出した生身の体験ブログ!
「固定残業代制」とは、一定時間の残業代が生じる事を”見込んで”、あらかじめその分の残業代を支払うといった給与システム。
「なんだ、固定残業代制って、残業が無くても残業代が貰えるラッキーな仕組みじゃん」
この仕組をよく分からない人ほどそう考えがち。
しかし実態は全く見当はずれな違法まがいのシステムなのです。
ブラック企業では”見込み”内に残業が収まるはずもなく、残業代を支払っている体を保ちながら、超過した分の残業に対しては賃金を支払わないという悪質なやり方を取る。
ブラック企業が固定残業代制を積極採用するその理由を解説します。
(参照:厚生労働省)
今や、国民の4割近くが非正規雇用で働く時代。
ご存知のように、非正規雇用と正規雇用の大きな違いは「安定度」です。
派遣やアルバイトなどの非正規雇用では当然のように、
・昇給なし
・有給なし
・退職金なし
・実質的に社会保険もなし
といった「ないない三昧」で、その扱いは冷遇されています。
派遣やアルバイトで理由があり、敢えて働く人もいるのでしょうが、そのほとんどはやむを得ず仕方なく働く人がほとんど。
「できれば非正規では働きたくない」
「世間体も考えて、正社員で就職しなきゃ」
周囲の世間体もあり、こういった感情が募ってくるのはある意味必然とも言えます。
正社員にならなければ結婚もできないし、収入も安定しない。
言い換えれば、誰もが必死で「正社員」という枠内に入ろうと競争が激化するわけです。
狡猾なブラック企業はこういった若者や勤労意欲の高い人間のモチベーションをうまく利用します。
おおっぴらに口にこそ出しませんが、
このように現在の日本が抱える雇用問題を逆手に取って、自社でこき使うための悪どい土壌を生成しているのですね。
非正規雇用で不安定にあえぐ人達は、
・給料25万(40時間分の固定残業代含む)
こんな魅力的な募集要項を見れば、その求人に飛びつきます。
「固定残業代制で残業代もキッチリ出るみたいだし、何よりもやっと手にした正社員。頑張らなきゃ」
ブラック企業に仕掛けられた罠を罠とも思わずに、その中に踏み込んでいく。
誤解のないように説明しておきます。
本来的な意味で言えば「固定残業代制」は会社にとっても従業員にとってもかなり合理的なシステムです。
固定残業代制自体は、〇〇時間分の残業を一律〇〇円で支払うという仕組み。
その制度を取り入れる事を就業規則に掲げ、雇用契約書にもその旨をハッキリと分かるように明記してあればどの会社でも取り入れることができます。
大手企業やホワイトな会社でも往々にして取り入れている制度です。
そりゃそうですよね。
仮に40時間分の残業代込みの給料ということは、裏を返せば40時間の残業をしなくてもその分の給料が払われる事と同義。
もし月の残業時間が20時間で収まれば、残りの20時間分は得した計算になります。
やる気のある社員だったら、「よし今月もバリバリ働いて早く仕事を終わらせよう」となる。
会社としても短い時間で成果が上がっているなら、能率的な仕組みを巡回している事になる。
ある意味、会社・社員双方にとってかなり合理的と言えます。
ではなぜ、固定残業代制がこうも問題になるのか?
なぜ、固定残業代制を導入する会社はブラック企業などと言われてしまうのか?
問題は固定残業代分を超過した際の対応にあります。
固定残業代制は決められた時間内の残業代が込みの給料が貰える仕組みということはお伝えしました。
では決められた時間内に残業が収まらなかった場合にはどうするのか?
例えば、40時間分の残業代込みで、月の残業時間が50時間だった場合はどうなるのか?
実はこれ超過した分の10時間の残業代は別途支給しなければなりません。
ホワイト企業とブラック企業の境目はここです。
ブラックな企業ほど固定残業代分を超過した部分の残業代を払わないんですよね。
しかも厄介なのは、あらかじめ固定残業代分の時間では到底に終わることは無いぐらいの仕事量が与えられている。
月に40~50時間の残業ではとても終わらない仕事量にも関わらず、こういった仕組みを導入し、更には超過分の残業代も支払わないのです。
言ってみれば確信犯です。
労働法に疎く、固定残業代制を取り入れれば残業代を払っている事になっていると思っていたと言う経営者ならまだ是正の余地はあるかもしれません。
しかし中には、固定残業代制を導入すれば従業員をタダで無限にこき使う事ができる。固定残業代制なら人件費を抑えられ利益を拡大できる。
こう考えている経営者が本当にいるという事実。
これ大きな勘違い。
実は固定残業代制という法律は存在しません。
労働基準法の中に設定されている項目ではないので、「ウチはこういった仕組みを取っている」といった旨を就業規則に盛り込んで、使用者と社員の間で合意のもと決められているといったニュアンスが近い。
ですがこの仕組を乱用し、従業員を酷使していいなんてことは許されませんし、超過分の残業代は免除されるなんていうルールももちろん無い。
ただやはり、こういったグレーゾーンはブラック企業からすると法をすり抜ける格好の的なのです。
また固定残業代は労基法の範囲外の決まり事なので、具体的な規制策も設けられていない。
法的な拘束がないため厚生労働省からは求人票に「固定残業代を取り入れる際には適切な記入をするよう」連絡事項が出ている程度。
類型1 固定残業代が何時間分であるか記載されていない。また、超過した場合に別途支給する旨も記載されていない。
派生型1 固定残業代の時間数は面接時に説明するとしている
派生型2 固定残業代は各人ごとに設定するとしている。
派生型3 固定残業代に時間外及び深夜手当を含めるとしている
派生型4 固定休日出勤手当(◯日分)を支給するとしている
類型2 固定残業代が何時間分か記載されているが、超過した場合に別途支給する旨が記載されていない。
派生型1 一定時間以下でも支給される旨「のみ」が記載されている。
派生型2 ☓☓手当と△△手当を合わせて固定残業代(〇〇時間分)としている。
類型3 超過した場合に別途しきゅうする旨は記載されているが、固定残業代が何時間分か記載されていない。
類型4 基本給の中に固定残業代も含めて記載されている。
派生型 基本給に固定残業代が含まれることがあると記載されている。
類型5 〇〇手当として別個の手当と固定残業代が一括して記載されており、それぞれの内訳が記載されていない。
その他
・「求人条件に係る特記事項」欄に「固定残業」の時間が記載されているのみで、手当があるか否かが記載されていない。
・「固定残業時間(40時間)以外に時間外勤務がある」など、恒常的な残業時間が40時間あるのか、いわゆる固定残業代が40時間分なのか、不明確な記載となっている。
・毎週土曜日の休日出勤(9時~13時)を固定残業代で支給するとしている。
・固定残業超過分や早退分は、特月25日相殺になるとしている。
上記はあくまでも求人票で不適切な表記と厚生労働省が示した基準にすぎません。そのため法的な拘束のない「連絡事項」にとどまっているのですね。
とは言え、超過分を超えた残業代を支払わないのは、違法です。
今自分自身が所属している会社が固定残業代制を採用しているが、何かがおかしい。騙されている感じが強い
そう感じている人は一度、自社のそれ以外の環境を冷静に眺めてみるとよいでしょう。
・降格や減給をちらつかされ、給料の件には踏み込めない
・意図的な人手不足を作られ、過重な労働を強いられている
経営者が単に法律に無知なだけでなく、意図的に操られている労働環境の場合、その会社は固定残業代制を利用しそれ以外の部分でもあなたを搾取しようとしているブラック企業と断定できます。
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