実録!30代でブラック企業を脱出した生身の体験ブログ!
ブラック企業の法律を無視した横行に、労働基準監督署に駆け込んで訴えてやろう。
こう考える人もいることでしょう。
しかしこの労基署、訴え方や内容によっては中々動いてくれなかったりするのです。
給料がきちんと支払われない。
上司のパワハラでうつ病に・・・。
結論から言うと労働基準監督署は管轄外のことには一切動きません!
意外にも見落としがちなこの盲点、労基署が動いてくれない理由を解説します。
目次
まず始めに言っておきます。
労基署の扱う範囲はあくまでも「労働基準法」内でのトラブル。その為、それ以外の相談内容に関しては動いてくれないというスタンスをとっています。
たとえば、上司や社長から、
「お前は使えないヤツだ!もっと仕事をスムーズに覚えろ!」
といったニュアンスの事を毎日ネチネチ言われたとしましょう。
精神的苦痛に耐えかね、「これはもはやパワハラだよ・・・」と悩んで、労基署に駆け込んだとします。
しかしこういったパワハラの相談に対して労基署が自分の会社に何かしてくれるかというと、何もしてくれないのです。
パワハラや暴力でケガをおった等の案件はそもそもが、刑法に関わることなので、管轄は警察になります。
あなたを辞めさせようと執拗に迫るパワハラ行為も労基署は取り締まることができないのですね。
パワハラなどの相談を持ちかけた場合、労基署は窓口の相談員が、関係する法律はこういったものがあるなどの案内をしてくれます。
その上で、
「もう一度。ゆっくり会社や上司と話し合ってみては?」
こんな事を言われてしまいます。
特に、あなたが会社側と意見のぶつかり合いをせずに駆け込んだ場合は、何が違反になっているのかも不明な事が多いので、再度話し合ってくる事を案内されてしまいます。
「労基署に駆け込めばなんとかなると思ったのに、何も動いてくれないのかよ!」
冷静に考えればよく分かりそうな事なのですが、どう相談して良いのか分からない状態で動くので、労基署に不信感を持ってしまいがち。
ですが労基署の裏にはこういった事情があるのです。
サービス残業や休日出勤で毎日疲れきっている。長時間労働で疲労するならまだしも、稼働した分の賃金を会社が払ってくれない。
いわゆる「賃金不払い」や「サービス残業」の問題。
労基署がこういった相談を持ちかけられた場合には、通常の法律がちゃんと守られているかの「定期監督」とは違い、通報が合った場合の調査としてアポ無しの「申告監督」という臨検調査に出ます。
相談者との話し合いを重ねた上で、
2会社代表・責任者へのヒアリング
3現場への立ち入り調査・ヒアリング
4口頭での指導指示
概ねこういった形で監督を行い、悪質であれば「指導票」や「是正勧告書」を会社に交付します。
これにもめげずに経営者が改善の意を示さなかったり、問題を放置した際には、労基署は最終的に刑事罰で会社から罰金を取るために送検する方向に持って行こうとします。
しかし実際に労基署が検察に送検しても、検察官がその「賃金未払い」案件を起訴してくれないケースもあります。
あくまでも労基署は相談者から寄せられた情報などをもとに、検察の判断材料となる資料を検察に投げるだけ。
その材料を元に、事件性が高く裁判に持っていくかどうか判断するのは労基署でなく検察です。
「賃金未払い」案件が検察に送検されたものの、結果、起訴されず何もアクションが起こらずに終了した。
こんな事も往々にしてあり得るのです。
というのも検察側としても、会社側に賃金を支払う能力があったにも関わらずに意図的に支払わなかった(悪意性が高い)という状況でないと、いくら送検されても起訴に踏み切れないという事情もあるのですね。
「こちらがいくら立件したところで、会社側も支払い能力がなければ仕方がない。是正させようにもどうにもならない」
こういった考えを持っている。
残業代不払いで労基署に駆け込んだ社員さんも不憫だが、業績不振で稼働した分の賃金を支払えない会社側のフトコロ事情も現実問題としてやむを得ない。
こういったスタンスをとられるケースも少なくないのですね。
経営者の中には悪知恵を働かせる人もいます。
残業代などの未払い賃金による罰則は、
「6ヶ月以下の懲役、または30万以下の罰金」
です。
色々な見方はあると思いますが、罰則としては重いとは言えません。
30万程度の罰金刑で済むなら、社員をもっとこき使える!こう考える悪質な経営者もいることでしょう。
実例として、送検されて罰金刑を課されたにも関わらず、
「100万もの未払賃金があった。それが30万の罰金刑で済んだんだから安いもの」
こういった人もいるぐらいです。
こんな人間は、もはや相当な悪質な常習犯として自ら裁判を起こすべきでしょう。
労基署は人員が足りていません。
労働基準監督官があまりにも少なすぎるために、なかなか迅速な動きがとれないという一面もあります。
2013年度のデータで、3198人です。全国規模でこれだけの数しか労働基準監督官がいないのです。
税務のスペシャリストである国税専門官が60000人近くいることを考えるとその人員の少なさは異様です。
しかもここまで人員が不足しているのに、日常の労働相談は逆に増えているといった実態。
こうなってくると、監督官は日常の業務に取り組みながら監督調査を行うといった多忙を極めるといった案配です。
労働問題で実際に会社訪問を行うとなると、1日で何件もこなせる業務ではないために、相談に対して迅速に動けないといった状態になってしまうのでしょうね。
労基署にも一般企業と同じように人事評価制度があります。
年次と年齢が重視され、能力は評価にあまり影響されないとも言われていますが、全部が全部そうとも言い切れない。労基署も人が運営している以上は一定の評価制度も存在している事は否めません。
相談に対してどのような是正勧告を行い、実際にどういった改善につなげたか?どれだけの件数を是正させたか?
こういった数字部分を評価としてみられると、本来じっくり話し合って解決に導かなければいけないような案件に対して、単なる違法項目のリストを挙げるだけといった対応になってしまいます。
人員不足も相まって、とにかく件数対応をせざるを得ない状況になってしまうため一件一件の対応が雑になってしまいます。
そうなると相談者側から見れば、
「労基署は対応が杜撰だ。駆け込んでも自分の相談は過小評価され中々動いてくれない」
こういった捉え方になってしまうのです。
労働基準監督署が相談に対して中々動いてくれないのはなぜか?について書いてきました。
・送検しても起訴されない事がある
・人員不足による動きの鈍さ
こういった事情を抱えて、「動いてくれない」といった認識が進んでしまう部分があるのですね。
悪どい会社と徹底的に戦うといったスタンスも重々分かりますが、最悪なのは無駄に時間を使ってしまい、結局何も解決していない。といった結末でしょう。
年齢やタイミングの問題もあるでしょう。
しかし可能であればそんな会社に見切りをつけ、いち早く新しい出発を図るといったリスタートこそが一番の解決策にも思います。
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